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スクロールを回避せよ、効果的なTikTok広告を作る6つのコツ

2023年5月23日 web管理者

TikTokは、ターゲットオーディエンスをクリエイティブにエンゲージする可能性を無限に秘めたエンターテイメント空間です。では、そのエンターテイメント性の先で、成果につながる効果的な広告を作るにはどのようにしたらよいでしょうか。


TikTokは、昨年3年連続で6億4200万ダウンロード*を記録し、世界で最もダウンロードされたアプリとなりました。150以上のマーケット、75の言語で利用され、世界中でより多くのモバイル端末で利用されている短尺動画共有プラットフォームは他にありません。TikTokユーザーのうち、4人に1人は他のプラットフォームではリーチできないとさえいわれます。

TikTokのその規模と、高いエンゲージメントを持つコミュニティを考慮すると、そこでさまざまなブランドが消費者にリーチしようとするのは当然のことです。WARCは、2023年広告費予測としてTikTokへの広告費を約20億ドル上方修正して152億ドルになるとしており、75%のマーケターが同プラットフォーム上での活動を増やす予定であることを示しました。これはTikTokの広告収入が、2022年から52%増加することに意味します。

TikTokは、エンタメ性が高く、ユーザー毎に最適化されたプラットフォーム体験を提供することに長けており、TikTokの「レコメンド」に表示されるコンテンツは、特に楽しく感情的エンゲージメントが高くなるようなコンテンツ視聴体験を提供するよう設計されています。ユーザーの興味関心やよく見る傾向のあるコンテンツからレコメンドが最適化され、ユーザーが好むものを、より多くの時間見てもらうことを可能にしています。「CommunityToks」という、共通の趣味を共有するコミュニティ形成の文化も、ユーザーが本当に興味や関心を持っていることを視聴コンテンツに反映させるためのもう一つのルートです。一方で、即座にエンタメ要素が感じられない、あるいは個人的な感情的つながり・喜びが感じられない場合、そのコンテンツは一瞬にしてスクロールされます。以下のデータは、2022年のKANTARのMedia Reactions調査によるTikTokのブランドパーソナリティを示したもので、TikTokは「ジョーカー」(楽しい、遊び心満載)、や「フリースピリッツ」(気ままな、自発的な)タイプに属する結果となっています(グローバル結果)。

参考:TikTokブランドパーソナリティアーキタイプ(KANTAR 「Media Reactions 2022(グローバル)」調査より一部抜粋)


そのため、この楽しい体験を邪魔するような広告がスクロールされるのは、何ら驚くことではありません。ユーザーがTikTokで期待するようなコンテンツを作ることは必須となりますが、実際は広告を作る上で、ビジネスゴール、戦略的ゴール、コミュニケーションゴール等、広告として達成すべき目標が多々あるのが現実かと思われます。そのため、TikTokでこのチャンスをつかむためには、スクロールによる離脱を防ぐだけでなく、結果を出すためのクリエイティブコンテンツを制作する術を知る必要があります。

マーケターは、デジタルコンテンツについて思い切った「ギャンブル」をする傾向がありますが、これにはリスクが伴います。時間やコストという点では、ギャンブルというほどのもではないと感じるかもしれませんが、KANTARの調査では、デジタルコンテンツはブランドに対する人々の考えや印象、購買意欲にネガティブなダメージを与えかねないことがわかっています。


そのような事実を踏まえてもギャンブルにでますか? ― KANTARは、広告だけでなく、より総合的な知見を蓄積して、ブランド構築のため、情報に基づいた意思決定を行うサポートをしています。

TikTokとKANTARの共同ウェビナー「Stop the scroll: the secrets to create distinctive TikTok ads that entertain and deliver」は、まさにこのトピックに焦点を当てたもので、TikTokで受け入れられ、楽しまれ、かつブランドの成功に貢献するコンテンツを作る方法に関する内容となっています。そこから、TikTokで使用する広告クリエイティブを制作する際に、どのブランドでも適用できる実践的な6つのヒントを以下にて少しご紹介します。


1.  冒頭から興味を引き、感情を動かすものに

TikTokでは、次から次へとコンテンツをスクロールしやすく、その機能自体がTikTokを利用する上での楽しい部分でもあります。もしそのコンテンツが視聴するに値しないと判断されれば、次のコンテンツへとすぐにスクロールされるように、ユーザーは視聴コンテンツを自分である程度コントロールすることができます。そのため、スクロールを回避するには、コンテンツの冒頭で惹きつけることが重要です。人間の脳は、他とは違うもの、自分に関係の深いもの、あるいは感情を動かすものに注意を払います。


チェックポイント:

  • 広告のフックは何か、なぜユーザーはその広告に時間と注意を払わなければならないのか。
  • その広告は感情を動かすものか、独創的で個性的か。
  • どのように冒頭からユーザーを楽しませるか。

2. TikTok上のコンテンツに溶け込ませる

もし広告がそのプラットフォームで好ましくない邪魔なものだと感じられたら、ユーザーをイライラさせてしまい、次のものへとスクロールされてしまうでしょう。TikTok上のエンタメ時間を邪魔するのものではなく、その一部となることを目指しましょう。クリエイターの起用は、広告をTikTok特有のトンマナにするための強力なショートカットとなります。


チェックポイント:

  • TikTok上の他のコンテンツと溶け込んでいるか。
  • プラットフォーム体験を邪魔するようなものとなっていないか。

3.流行に乗る、あるいは創り出す

TikTokはカルチャーエンジンと言え、ものごとが凄まじいスピードでバズり、トレンドが生まれる場所です。一瞬で過ぎ去るものもあれば、TikTok外でも流行し、コミュニティを超え、より広い文化的基盤の一部となるものもあります。ブランドとしても、そのトレンドを活用し、コンテンツを目立たせ、注目を集めることができます。ただ、その際は、「ありきたりな」という既視感からくるスクロール(回避反応)を避けるべく、コンテンツに独自のオリジナリティや面白みがでるような、ブランド独自の流行への乗り方を考えましょう。このようなトレンドは、入れ替わりが激しく、次のトレンドが現れる前に、その「今アツい」話題をとらえる必要があります。TikTokに限らないことですが、文化や人類に関する普遍的なものを活用することは、注目を集め、人々の感情を動かす、一つの優れた方法です。


チェックポイント:

  • カルチャートレンドを取り入れて、オーディエンスが自分ゴト化したり、親近感をもったり、共感するコンテンツを創れているか。
  • カルチャートレンドの「意味」を効果的に活用できているか

4.夢中にさせ、楽しいことを見逃す恐れ「FOMO」を発生させる…ただし短く。

一度ユーザーを惹きつけたら、次はそれをできるだけ長い時間維持することです。スクロールを防ぐには、魅力的で、面白く、興味をそそるコンテンツである必要があります。決して、皆がその広告を最初から最後まで見てくれるだろう、というギャンブルには出ないでください。達成すべきビジネスやコミュニケーションゴールは多々あるかと思いますが、訴求したいことできるだけ早い段階で伝え、コンテンツはできるだけ短く消化しやすいものにするのがコツです。広告の中で最も興味を引き付け、エンゲージメントを高めるものが広告の目的に合致しているかを確認することが大切です。


チェックポイント:

  • 広告の中で、ユーザーが時間を割いて見続けたいと思うポイントは何か。
  • 広告の中で伝えたいことは脚色・強調されているのか、とってつけたようなものになっていないか。
  • 訴求したいことは早い段階で伝えられているか、最後まで視聴するだろうというギャンブルに出ていないか。

5.ポジティブな変化をもたらす

TikTokのミッションは、創造性を刺激し、喜びをもたらすことです。人々が創造し、共有し、自分の周りの世界を発見し、世界中の人々とつながることができるコミュニティを作ることを目的としています。多様性、包括性、真正性は、TikTokがメディアブランドとして掲げる重要なバリューであり、クリエイターは、自分自身をユニークにするものを心から祝福することが奨励されています。このような価値観(そして情熱や価値観、不平を共有する人々が集まるコミュニティの一員であるという感覚)を持つプラットフォームで広告を出稿することは、ブランド(広告主)にとっても社会的な価値をもたらす可能性を秘めていることを意味します。それは、多様な少数派コミュニティをニュアンス豊かに肯定的に描くことや、サステナビリティなど重要な問題に対して真の変化をもたらすためにコミュニティを結集させることを通じて行われます。広告がうまく機能すれば、世の中に真のポジティブな変化をもたらすという積極的な役割を果たすだけでなく、より良いビジネス成果をもたらすことができます。


チェックポイント:

  • 広告を通じて世界にポジティブな変化をもたらすには、どうすればいいか。
  • 多様なオーディエンス、つまり自分とはまったく異なる可能性を持つ人々を、ニュアンス豊かに表現する方法はあるか。

6.ブランドを中心に据える

TikTokの「喜びをもたらす」というミッションに共感するマーケターも多いかもれませんが、いざ広告となると、ブランドの成功に貢献し特定の目的を達成しなければなりません。そのためには、ブランドを中心に置くことが必要不可欠となります。独自性あるブランドアセット(ブランドキュー)をコンテンツに統合させることは、わかりやすい一つのアプローチですが、他にも考慮すべき要素はたくさんあります。果たして、あなたのブランドは、広告内でのストーリーや面白さの中心的存在となっているでしょうか…あなたのブランドにしか作ることができないTikTokコンテンツになっていますか…その雰囲気は、あなたのブランドに直感的にフィットするものとなっていますか…他のブランドとは違う点を強調できていますか…目の前の達成すべき課題を解決していますか…このような問いかけは、後付けではなく、アイデアの起点となるものでなければなりません。


チェックポイント:

  • ブランドがTikTokコンテンツの面白さの中心となっているか、とってつけたようなものになっていないか。
  • 視聴者を楽しませ、プラットフォームに溶け込ませることを重視するあまり、ブランドアイデンティティやブランドの世界観を妥協していないか。
  • 広告とブランドがしっかりと紐づいた上で、その広告が魅力的で記憶に残るものとなっているか。


以上の6つのテーマでは触れませんでしたが、音楽もTikTokでのコンテンツ効果に影響を与える一つの要素となります。この点についてもご興味がありましたら、ぜひTikTokとKANTARの共同ウェビナー(英語)をご覧ください。


KANTARはTikTokをはじめとするデジタル広告効果を最大化するための調査ソリューション及び、知見を提供します。

同じデジタル広告でも、プラットフォーム(=コンテキスト)が変わると、その効果や最適なクリエイティブが変わってきます。KANTARのデジタル広告効果測定ソリューション『CONTEXT LAB』は、コンテキストが異なるメディアやメニューの中で、どのコンテンツがブランドに「効果」と「効率」をもたらすのかを測定します。広告素材とメディアコンテキストの相性を踏まえて効果を測定することで、効率的なメディア投資を行って、広告キャンペーンの効果を最大化するのにお役立ていただけます。

また、本ソリューションの関連ウェビナー『テレビとは違う!デジタルで差を生むコンテキスト×コンテンツの検証と学び ~新ソリューション:CONTEXT LAB KMPのご紹介ウェビナー~』の録画はこちらよりご視聴いただけます。


詳細については、お気軽にお問い合わせください。



原文:https://www.kantar.com/inspiration/brands/stop-the-scroll-the-secrets-to-creating-distinctive-tiktok-ads-that-entertain-and-deliver 

翻訳・編集:高橋なお , Media & Digital

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