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グローバル・ビジネスリーダー調査:世界のビジネスリーダーたちの半数以上が2022年までに景気が回復しないと思っている

2021年2月5日 広報室_管理者

COVID-19は世界中のビジネスにどのような影響を与えたのか?また、どのようにして今後立ち直ることができるのでしょうか?グローバル4,500人のビジネスリーダーに調査した結果をもとに分析してみました。

※本記事は当社グローバルの2020年11月のコラムが基になっています。


最近は、ワクチンに関する前向きなニュースが出てきているにもかかわらず、企業にとってはかなり暗い見通しであることは否めません。世界の約4500人のビジネスリーダーを対象にしたカンターの「Global Business Compass」調査によると、半数以上のビジネスリーダー(57%)が「COVID-19パンデミックの経済的影響はワクチンの導入後も1年以上続く」と考えており、4分の1以上のビジネスリーダー(27%)は「自社のビジネスが危機から完全に回復するには少なくともこれから2年はかかる」と予想しています。

2020年のビジネス

2020年は年末に近づくにつれ、悪いニュースが増えました。3分の2以上(69%)の企業が2020年下半期の業績は前年比40%以上の落ち込みを予想しており、それらのリーダーの6人に1人が前年比40%以上の落ち込みを予想していました。54%の企業が継続的な支援の必要性を表明しており、主に税制条件の改善や納税猶予という形での支援を求めていました。一方、マーケティング機能に焦点を当ててみると、約3分の2(61%)の企業が2020年中にマーケティング費用を削減していることが明らかになっています。その削減率については平均で37%でした。また、半数の企業がコミュニケーションやメディアへの支出を削減したと回答しており、平均で39%の削減となっています。
202、これから企業はどこに向かい、次に何が起こるのでしょうか?

2021年、ビジネスはどのように変わるのか?

パンデミック後の世界、今回の調査対象となったビジネスリーダーたちはビジネスと戦略を根本的に見直す必要があると考えています。彼らの90%は、パンデミックの間に確立された消費者行動の変化が危機後も持続すると予想しているのです。実際、これほど大きな消費者の変化をもたらした世界的不況はこれまでなかったと言ってもよいでしょう。

しかし、興味深いことに、調査対象となったリーダー達の半数近く(48%)が消費者行動の変化を理解するための支出を減らすと答えているのです。

では実際に何を変えていこうとしているのでしょうか?

64%が長期の戦略的優先事項を見直す必要があると考え、79%が中核となる戦略を進化させる、そして84%が組織構造を変える必要があると予想しています。加えて、72%がアジリティと柔軟性を取り入れるために働き方を見直す必要があると考えています。

そこでカンターは、広範囲に及ぶ経済的な懸念と厳しい制約の中で、マーケティングチームがビジネスの復興戦略をサポートするために追求すべき3つの主な課題についてお話します。

復興への道のりに必要な3つの課題

  1.  ブランドパーパスとサステナビリティ
    弊社のグローバルモニター調査によると、世界の18歳から34歳までの消費者において、「ブランドは変化を導くべきだ」と考える割合は、2020年のロックダウン中に20%から27%に増加しました。

    さらに、ブランド資産価値測定を目的とした調査「BrandZ」の分析結果によると、成長ブランドの51%が、社会を支援するために積極的な役割を果たしていることがわかっています。しかし、それを計画している企業は34%にすぎません。

    私たちは、リーダーの皆様に、目的を持った戦略の重要性と、事業モデルにおけるサステナビリティがいかに重要かを認識していただき、進化する顧客基盤との関連を維持することをお勧めしています。マーケティングチームは、人々の生活において、明確なニーズや暗黙のニーズがどのように満たされているかを考え、それが機能的にも感情的にもどのような影響を与えるかを検証すべきです。この時、ブランドの存在目的を独立した概念として扱うのではなく、コミュニケーション、製品、ブランド体験、ブランドコミットメントの実の要素として考え、統合することが大切です。


  2. デジタルトランスフォーメーション
    また、弊社のCOVID-19バロメーター調査*によると、消費者の40%がロックダウン中にeコマースの支出が増えたと答え、45%がパンデミック中に見つけたオンラインストアでの買い物をこれからも継続すると答えています。

    本来であれば、10年かかるともいえる漸進的な変化が、この数ヶ月の間に起こりました。調査対象となったビジネスリーダーの95%は、消費者のオンラインで支出が増加することは予測できていましたが、パンデミック期間中にeコマース機能に投資したと答えた企業はわずか55%にとどまっており、この新しい現実に適応するためには、まだまだやるべきことがあることは明らかです。

    新しいアプローチ(ソーシャル・コマースやD to Cモデルなど)のテストが課題となる一方で、人々の変化するニーズや新しい e コマース・ジャーニーにおけるさまざまなタッチポイントの重要性を調査することが、これらの戦略に情報を提供することになります。そのため、企業は自社データとサードパーティデータを統合し、新規バイヤーと新たな購買機会についてより迅速なインサイトを提供できるデータ戦略を必要としています。

    ●関連コラム:【 “このタッチポイントの効果は?”シリーズコラム 


  3. 組織のパフォーマンスとイノベーション
    約7割のビジネスリーダーが、自社の組織の運営方法は、競争力を高めるためには適切ではないと感じています。2020年のパンデミックの期間中、成長を遂げた企業はわずか20%に過ぎませんでした。成長を達成した、あるいは損失を被らなかった企業の59%は、ビジネスモデルの転換を行い、4分の1以上の企業がイノベーションへの投資を増やしました。復興のためには、企業は従来の働き方を抜本的に変え、組織のパフォーマンスを大幅に見直し投資する必要があります。

    従業員や消費者とのクローズドループCX (詳しくはこちらの記事へCX Close-The-Loop Management)の考え方によると、企業の未来シナリオと長期戦略との必要事項が一致していれば、学習曲線効果を加速させ、一貫してベストプラクティスを展開していくことができます。顧客体験のマネジメントをセールスやマーケティングから切り離しているサイロ化した組織は、需要を再活性化させる方法について包括的な視点が必要になり、早急な改革が不可欠となるでしょう。

最後の重要な課題は、インサイトに投資することです。成長中のブランドは消費者を理解し、それに応じて行動していることがわかっています。特に危機的な状況下で思い込みに頼るのは、成功するための最善の方法ではありません。

あなたのブランドは、回復のために必要な変化を起こす勇気があるでしょうか?私たちカンターがどのように貴社の復興までの道のりを支援できるかについては、是非担当者までお問合わせください。お問合わせはこちら

■グローバルビジネスコンパス調査について

2020年5-6月に、世界中のビジネスリーダー4475人(うち900人以上がCスイート)にインタビューを行いました。オンラインアンケートでは、60以上の市場、40以上のグローバル企業を対象としています。カンターは、日本を含むすべての国とセクターを対象に、カスタマイズされたレポートを提供しています。詳しくはこちらまでお問合わせください。

企業のビジネスの回復のためには、従来の働き方を抜本的に変え、組織のパフォーマンスを大幅に見直し、それに投資することが必要です。COVID-19がもたらしたビジネス転換については次の記事で解説いたします。こちら

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