デジタル広告の視聴態度調査「AdReaction」最新グローバルレポート公開
カンター・ジャパンは、人々がどのように広告、特にデジタル広告を知覚しているか、消費者の広告に対する見方を調査・分析した「AdReaction」の調査レポートを毎年公開しています。

最新のアド・リアクションレポート「AdReaction: Getting Gender Right」は、ブランドや企業の広告クリエイティブにおけるジェンダーの描写がもたらす効果をテーマにしています。私たちが目指すのは、ジェンダー平等を正しく理解することで、多くのブランドの成長をサポートすることです。
解決しなければならない世の中の問題の一つ、ジェンダー問題はいま、世界中のさまざまな分野で再び議論されているデリケートな問題です。マーケティング業界においても、ジェンダーにまつわる固定観念の根絶を模索するために、アンステレオタイプ・アライアンスやジェンダー平等指数などの取り組みが、近年注目を浴びています。ジェンダーは2つだけではなく多様であるということは、今では広く受け入れられています。したがって、この業界においても変わる必要があることを、私たちは今まで以上に意識しなければなりません。
本調査レポートの分析には、2018年実施の約4万人の消費者を対象にした広告に対する視聴態度調査のデータのほか、データソースとして Link™ (リンク) の広告データベースにある3万件の広告テスト、世界のマーケター450人によるアンケート調査、約9600のグローバル・ブランドのブランド・エクイティ(ブランドの付加価値や資産価値)などのデータも含み、深く考察しています。

グローバルで見ると、マーケターのほとんど(91%)が、自社の広告で女性をポジティブなロールモデルとして描写することに成功していると考えていますが、広告の受け手である消費者の多く(45%)はそうは思っていないことが明らかになっています。
ここでは、本日公開するグローバルの調査データから得られる主な調査結果をご紹介いたします。
広告クリエイティブに関する調査結果
- 広告に女性と男性の両方が使われているとき、男性のほうが女性よりも目立っている可能性が高い。
- 広告の中で表現される男女像は依然として固定観念に縛られており、ほとんどの広告が女性を「感じのいい」または「思いやりのある」イメージとして表現しており、「威厳のある」イメージなどの描写は6%にとどまった。
- 広告の中で表現される男女像は依然として固定観念に縛られており、ほとんどの広告が女性を「感じのいい」または「思いやりのある」イメージとして表現しており、「威厳のある」イメージなどの描写は6%にとどまった。
- 「威厳のある」女性像を描いた広告は、他の広告よりもいくつかの点で優れていた。 威厳のある女性像の描写は、広告の信頼性と説得力という点で大きく高まり、短期的な売り上げ向上につながると言える。
- 広告業界全体で、女性主体の優れた広告クリエイティブには苦戦している。 女性のみを登場させた広告は、男性のみの広告に比べ、全体的にインパクトが弱く、広告を見た人が誇らしい気分になったり、広告からの刺激や興奮を受ける可能性は低かった。
- ジェンダーに基づいた広告クリエイティブは、従来考えられていたほど必要性は高くない。広告に対する反応を総合的にみても、男女間の差が確認できるわけではない。 良い広告というのは通常、誰に対しても効果的であり、悪い広告は誰に対しても効果がない。意図してジェンダーの描写を狙う必要はないと言える。
- 女性は若干ではあるが、日常生活のひとコマだったり、子どもや有名な音楽を使った広告を好む傾向がある。それ以外に、男性または女性消費者のどちらかを確実に捉える広告クリエイティブの要素はほとんどなかった。
- ユーモアは、男女ともに、他のどの広告特性よりも、広告の受容性を向上させるので、ユーモアは広告においても効果的だと言える。とはいえ、女性のみを使ったコメディ広告は、男性のみを使ったコメディ広告の半分以下である。
ターゲティングとメディアの効果に関する調査結果
- ブランドZ のBrand Valueで見ると、ブランド価値の平均額はターゲティングにおいて男女のバランスがとれているブランドが最も高く、206億ドルとなった。(女性に偏ったブランドは161億ドル、男性に偏ったブランドは115億ドル)
- このような男女のバランスがとれているブランドの数は、グローバル・ブランド全体の33%にすぎない。

- メディア効果の点では、特にネット広告は女性消費者に対して効果を失いつつある。2018年の調査では、ネット広告によるブランドインパクトの感じ方は女性は男性よりも28%低く、ネット広告に強い自分との関連性を感じている女性の数も男性より少ない。
- 女性は短編のネット動画を好む傾向が強く、視聴をコントロールできないようなスキップ不可の広告をひどく嫌う。
- 女性の間では有料広告以外に、その商品の販売実績情報や口コミのほうがインパクトの強いタッチポイントとなることが多い。
Kantar Insights Division チーフオフィサー兼イノベーションオフィサー(Insights Division, Chief Offer and Innovation Officer)のロージー・ホーキンス(Rosie Hawkins) のコメント:
今回の調査結果から、広告・メディア制作会社やクライアント側には、ある意味反省すべき点があることは明らかです。広告のターゲットとなる女性とブランドが意味のあるつながりを作ることができないことは、ブランドが過小評価され、その価値が上がらないということでもあります。 広告に登場する女性像に力強さがないことは単に残念ですが、威厳のある女性を登場させた広告が他の広告よりも成功していることは励みになります。
さらにクリエイティブについては次のように続けている。
良い広告クリエイティブを目指すことは簡単な道のりではありません。どのブランドも慎重に歩を進める必要があり、ブランド自体が広告の受け手からどのように認識されるのかを十分に意識する必要があります。比較的斬新なブランドであれば、男女それぞれの既成概念に挑戦することも、ある程度は許されますが、そうでないブランドはその国の社会文化的な姿勢も把握しておく必要があります
※本文を引用される場合は、出典が「カンター・ジャパン」であることを明記してください。
グローバルレポートのダウンロード
『AdReaction— Getting Gender Right 』
ダウンロード
Data Source
- Creative response – among over 20,000 Link creative copy tests
- Brand equity– among 9,560 global brands in 43 countries
- Media effectiveness – among over 500 CrossMedia and Connect multimedia campaigns, and over 5,000 digital effectiveness studies
- Consumer advertising attitudes – among a total of over 18,000 men and 18,000 women
- AdReaction: The art of integration - among over 14,500 people in 45 countries
- AdReaction: Engaging Gen X, Y & Z – among over 23,000 people in 39 countries
- Consumer decision making – among a total of over 70,000 people in 56 countries from Connected Life
本記事は、カンター・ジャパンのニュースレターに掲載されています。
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