チャットボットは広告の未来を変える?

2018.04.26 広報室_管理者


Kantar Millward Brownは、AIチャットボットにアウトストリーム広告を融合させて行う消費者テストに関して、20年以上に及ぶこれまでの膨大な検証結果を、昨年満を期して、新たにリストに加えることとなりました。これは、このチャットボットという新しい広告手法が消費者からの支持を得て、これからのデジタル広告のベースとなり得ることを示唆しています。では、本当にチャットボットを採用することで、デジタル広告がより消費者にとって身近なものになるのでしょうか?

アド・テクノロジー会社のTeadsは、2017年春のアパレルブランドTommy Hilfigerによる「Tommy X Gigi collection 」のために、Facebookメッセンジャー対応の人工知能を使ったチャットボット「TMY.GRL」をビデオ広告に統合させました。Kantar Millward Brownは、このクロススクリーンのUKキャンペーンに伴う消費者動向を調査することとなったのです。その結果、チャットボットを組み込んだクリエティブ広告の方が、チャットボットを組み込んでいないハイクオリティなキャンペーンに比べて、遥かにライブ感と高いエンゲージメント率を効果的に実現していることが分かり、さらには消費者の注意を引き、消費者に好まれ、その後の購買検討に際しても有効であることが明らかとなりました。(詳しい調査結果はこちらを参照ください

最も重要なことは、67%のモバイルユーザーがこのチャットボットによる広告について、面白くて魅力的だと賞賛したことです。今後、この新しい広告フォーマットは、デジタル広告の抱える問題点を改善することができるのでしょうか?これは、デジタル広告がより洗練され、ユーザーからの敬意を集められるようになるタイミングの到来を意味しているのでしょうか?。

当社の公開している最新のデジタル広告に関する消費者調査「AdReaction調査」The Art of Integrationによると、4人のうち3人が3年前より多くの広告を見ていると答えており、その広告がより無意識に入り込んできていると感じています。また、その前の同調査によると、新世代のデジタルユーザーであるZ世代は、増えすぎる広告をうまく管理する必要性や、広告を正しく評価(投票などを通じて)する適切な機会の必要性を感じています。(AdReaction Japanレポートのアーカイブはこちらをご参照ください

チャットボットを使うということは、広告主だけではなく、こういった消費者の欲求も満足させる事ができます。具体的な例を挙げると、チャットボットは「今チャットできますか?」とユーザーに尋ね、もし都合が悪い場合は「それなら、あとで手が空いてる時はどうですか?」と尋ねたりできます。この気遣いがあれば、広告に対する最大のクレームの1つである、ユーザーが何か他のことをしたいときに広告に妨害されることを防ぎ、お互いの利益確保をしているように見せかけることができます。また「このブランドに興味がありますか?」と尋ねることで、興味のないブランドを無理に見せられているユーザーを減らす事もできます。

驚くことに、デジタル広告のほとんどが、ユーザーの時間や興味を考慮することなく次々と提供される旧型(プッシュ)モデルを脈々と受け継いでいます。最新の素晴らしいターゲティングシステムであっても、広告が適切なユーザーにあたる確率は100%ではありません。こういった簡単な質疑応答を投げかけられるチャットボットは、広告主にとっての課題であるターゲット設定の精度の向上に貢献し、ユーザーの時間や興味を優先するために一方的なやり取りをときには中断する気遣いを見せるチャットボットに、ユーザーはより人間らしさを感じるかもしれません。

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この記事の著者:ナイジェル・ホリス

Nigel Hollis,Executive Vice President and Chief Global Analyst, Kantar Millward Brown
オリジナル記事:Chatbots can be good for advertisers and audiences

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