困難な状況下の新たなマーケティングプランの作り方Ⅰ:未来に備える

2020.05.19 広報室_管理者

2020年、日本ではマーケターの誰もが予測しなかった事が立て続けに起きました。東京オリンピック開催の延期。そして、新型コロナウイルス問題の対応のため緊急事態宣言が発動。消費者の意識や行動は、大きく変化し続けています。予定していたマーケティングプランが使えなくなった今、多くのマーケティング担当者が、「今何が起こっているか?」の情報収集や状況把握のまとめに多くの時間を費やされています。

Kantarは、「不確実性の中では複数の未来をシナリオをとして描き、計画を準備しておくことが重要だ」というPOVを持っており、次の様な新型コロナウイルス危機後の未来シナリオを提示しています。

これから考えられる4つのシナリオ

これは5〜10年後の未来ではなく、皆様が最も求めている「今後6〜12ヵ月で物事がどの様に進展するか」のシナリオです。

まず、独立した不確定要素を3つ(ウイルス、人、政府や医療機関の対応)洗い出しました。そして、これらを組み合わせることにより、網羅性が高く、また異なる特徴がある未来シナリオを描くことができます。


ウイルスの発生が今回限りとした場合、まず次の2つのシナリオが考えられます。

SCENARIO 1
Close Call
危機一髪・瀬戸際で回避する

消費者の反応がコントールされて社会制度がコロナ問題に順応することで実現していくシナリオです。

  • 何とか災害を回避した印象。だから、少し楽観的。立ち直る力を信じている。
  • eコマースやバーチャルも活用するが、対面での消費行動に大きな変化はない。

SCENARIO 2
Panic Attack
パニック発作の状態

ウイルスの発生が今回限りであっても、消費者の反応がコントールされず、社会制度がコロナ問題に順応できない場合は、次のようなシナリオとなるでしょう。

  • 政府や社会に対しての不信感により、仲間のみを信頼する傾向が強くなる。特に若年齢層は「彼らの希望・未来が奪われた」と考える。
  • 消費活動は、特に高年齢層で財布の紐が堅くなる。

再度感染拡大が再発し、かつ消費者の反応がコントールされることもない場合には、次の2つのシナリオが考えられます。

SCENARIO 3
Recurring Nightmare
繰り返される悪夢

  • 既存の制度や社会システムを信頼できない。だから、消費も、安全・安定志向にシフト。より貯蓄が重要になる。
  • 皆が人との繋がりを切望し、新たなデジタルのプラットフォームが重要な役割を果たす。

SCENARIO 4
Brave New Reality
現実に勇敢に立ち向かう

再度感染拡大が再発しても、消費者の反応はコントールされ、社会制度も問題に順応できるとするならば、次のようなシナリオが考えられます。

  • 「接触しない」文化が開花。自発的に「冬眠状態」になる人もいれば、革新的なアプローチに適応する層も増える。
  • 機能的なものへの消費が増える。また、旅行やエンターテイメントのピーク時期に変化がある。

だれもが想定できるようなシナリオだけでなく、思考や議論を刺激するため、ある程度「挑発的」な内容であることも重要です。シナリオには誰もが望まない、かなり悲惨なものも含まれます。ですが、これを足掛かりに、「何が起こっているのか?」の理解からひとつギアを切り替えて、 「次に何が起こるのか?」という議論につなげることができます。そして最終的に、「どの様に備えるのか?」について計画し、会社のリーダーシップチームを説得できるような、2020年の新たなマーケティングのアクションプランを、具体的に描くことができるのではないでしょうか。

コロナ禍における困難な状況が続くなか、Kantarはブランドの成長・強化につながる対策を皆様と一緒に考えていきます。未来に備えるための新しいマーケティングプランやブランドビルディングの方法など、この状況を乗り切るための状況に応じたアプローチは他にもございます。

4月9日に行ったKantar APACのウェビナー「COVID-19が今後、アジアの消費者の行動にどのような影響を与えるのか」でも、長期視点を見失わないために今すぐ活動し、COVID-19 後の将来に備える重要性を解説しています。ウェビナー録画の視聴が可能ですので是非ご覧ください。※ウェビナー資料も無料でご提供しておりますので、まずはカンター・ジャパンまでお問合せください。

次回は、コロナ禍中における消費者の潜在的なニーズを、ソーシャルリスニングと、Kantarの「ニード・スコープ」の手法をもちいて分析した結果をご紹介します。異なる未来シナリオ上で、どの様にブランドをポジションしてコミュニケーションをうつべきなのか…を具体的に解説いたします。


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