クリエイティブが最も高い評価を受けるのは顧客の信頼を勝ち取ったときだけだ

2020.02.27 広報室
前編では世界最大級の広告賞であるカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル(カンヌライオンズ)の受賞広告を事例に、「コンテンツのクリエイティビティ (創造性)」を認められた受賞広告はブランドの差別化には貢献できるが、その独自性が「ブランドの意義性」を築くことには必ずしもつながらないことを指摘した。では、どのようにすれば、ブランドの意義性を築くことができるのだろうか。

*ブランドの意義性:カンターのブランドエクイティ評価システムでは、意義性は全てのブランドにおける基礎的な要素。ブランドがニーズや嗜好を満たさない限り、消費者がブランドを購入する可能性は低くなる。詳細はこちら

ブランドの意義性を築くためには、イメージと合致した「パーパス(目的)」が必要

「コンテンツのクリエイティビティ (創造性)」は「ブランドの意義性」を築くことには必ずしもつながらない――。では、ブランドの意義性を築く最適の方法とは何か。

 その一つの方法が「パーパス(目的)」を使うことだ。近年、目的主導型のキャンペーンが増えているが、カンターのブランド資産データベース「ブランドZ(BrandZ)」が94のブランドを対象に12年間にわたって収集したブランド価値データで分析すると、強い目的意識を持っていると認められたブランドは、そうでないブランドと比べて2倍もの成長を遂げているという。

だが、その一方で、同じく当社独自の広告効果解析ツール「Link Now」のデータベースに収められた過去6年間の広告20万件近くを分析した結果、「目的」だけではブランドが高い広告効果を得ることには繋がらないことが判明している。

ここで忘れてはならないことは「目的」(=環境・社会的責任に関するメッセージおよび企業の評判と定義する)が、そのブランドにピタリと一致した内容でなくてはならないということだ。つまり、人々がそのブランドをどう見ているのか。そのブランドの全体的なイメージと合致した「目的」である必要があるのだ。

ブランドの「目的」をうまく示している恒例、Doveの「#ShowUs (#美しさって?)」

 

 

ボディーソープで知られるアメリカのDoveによる「#ShowUs(#美しさって?)」プロジェクトは、カンヌライオンズで銀賞を受賞したが、Doveが長年展開している「Real Beauty(本当の美しさ)」キャンペーンの一環として、ブランドの「目的」とは何かということを示す好例となっている。

このプロジェクトは、若い女性の目に映る世界を表現することで、従来の画一的な美しさの固定観念に挑む意欲作で、女性一人ひとりが自信を深められることを目指し、インクルーシブ、かつ代表的な女性像を求めるものとなっている。

さらに、このプロジェクトは単なる公共メッセージを超えて、具体的なアクションを呼びかける内容にもなっている。Doveは写真エージェンシーのGetty Images と女性写真家をサポートするプロジェクト「Girlgaze」と共同で、多様な女性のアイデンティティ、美、エンパワーメントを体現する、世界の女性たちのフォトライブラリーを開設。こうしたDoveの挑戦は、これから広告のかたちを変えていくきっかけの一つになるはずだ。

視聴者の琴線に触れるような「適切な感情」を引き起こす

ブランドの意義性を築くもう一つの効果的な方法は、「適切な感情を引き起こすこと」にある。カンヌライオンズのグランプリに輝いた、The New York Timesの「The Truth is Worth it(真実にはその価値がある)」キャンペーンはジャーナリストの活動をドラマティックに描き、視聴者の共感を狙ったものだが、移民の子供が両親から引き離されてしまうという生々しい描写によって、逆に視聴者のネガティブな感情を喚起させてしまった。

こうしたネガティブな要素を使って視聴者を引き込む手法は、認知を得るうえでは有効であるものの、非好意的なブランド印象を植え付けるリスクがある。つまり、感情の強さがそのまま楽しめる広告として高スコアを得るとはかぎらないのだ。

実際、このThe New York Timesのキャンペーンは、カンターのデータベースでは全広告の下位20%という結果となった。

一方、Nikeのアメリカ版「Dream Crazier(もっとクレイジーに夢をみろ)」キャンペーンは、アスリートやコーチが乗り越えてきた感情面の試練を次々と紹介するものだが、情熱的な女性・少女たちが自らを極限まで追い込む姿を描くことで視聴者を極度に集中させることになった。だが、それにもかかわらず、このNikeのキャンペーンは「適切な感情を引き起こす」ことで、楽しめる広告として高スコアを獲得した。これからクリエイティブに求められるのは、視聴者とブランドのポジティブな出会いができるように「適切な感情を引き起こす」こと、つまり、視聴者の琴線に触れることが必要なのだ。

顧客の信頼を高めるためにも、正しい効果測定をすべきだ

カンヌライオンズを受賞するには、「コンテンツのクリエイティビティ (創造性)」が必要だ。しかし、その独自性だけでは、長期的にブランドの意義性を伝えることは難しい。広告コンテンツはブランドにしっかりと紐付けされていなければならない。クリエイティブがブランドをストーリーの中心に据えて、情緒性があり、かつ記憶に残りやすい伝え方をするとき、広告コンテンツとブランドの結びつきは最も強くなる。または、時間をかけて継続的にブランドキュー(ブランドロゴ・キャッチコピー・キャラクター・サウンドロゴなど視聴者がブランドを連想できるようにするもの)を育てることも効果的だろう。

カンヌライオンズ受賞広告の中には、ほとんどカンヌライオンズだけを目的として制作されたと思われる広告がいくつか見受けられた。クリエイティブが最も高い評価を受けるのは、賞を勝ち取ったときではなく、顧客の信頼を勝ち取ったときだ。

当社は、こうした広告の効果測定について、オンライン調査およびインサイトストア「カンター・マーケットプレイス」を通じた、独自の広告効果解析ツール「Link Now」を用いて調査・分析できるサービスを行っているので、ぜひ試してみてほしい。

 広告テストツール「Link」について詳しくはこちら

 成功するブランドの要因「意義性」について詳しくはこちら

 

カンター・ジャパンのニュースレター

カンターは、アジア地域のアップデートをメールマガジン形式で配信させて頂いております。カンター・グループの誇る各ソリューションブランドのさまざまな取り組みをご紹介していきますので、皆様のビジネスチャンスにぜひお役立ていただけますと幸いです。ご興味のある方は、「ニュースレター登録」からご登録ください。
※メール配信停止をご希望の方は、お手数ですが空メールをお送りください。次回配信より停止させていただきます。配信停止希望のメールは下記E-mail宛にお送りください。

この記事に関するお問い合わせはこちらから

カンター・ジャパン 
Marketing@kantar.com

この記事をシェアする