KANTAR JAPANは、世界最大の広告会社WPPの子会社です。WPPグループは、今年で12年目となる2017年の世界のブランド価値ランキング(『ブランドZ™ Top 100 Most Valuable Global Brands Ranking (最も価値のあるグローバルブランド トップ100ランキング)』)を発表いたしました。このブランド価値の算出は、カンター・ミルウォード・ブラウンが行っています。消費者調査に基づいて測定されたブランド資産と、企業の財務実績・業績分析を組み合わせた本調査レポートは、業績と株価の向上にブランドがもたらす価値を明らかにしており、毎年企業やブランドの注目を集めています。
ランキングでは、テクノロジーブランド大手のGoogle(グーグル)、Apple(アップル)、Microsoft(マイクロソフト)、Amazon(アマゾン)、Facebook(フェイスブック) がトップ5を占めました。
トップ100の上位は、テクノロジー系企業が独占
Google、Apple、Microsoftは前年から引き続きトップ3を堅持し、この1年間でそれぞれ、7%増の2,456億ドル、3%増の2,347億ドル、18%増の1,432億ドルへと企業価値を拡大しました。5位のFacebookは27%増の成長を遂げ企業価値は1,298億ドルとなりました。トップ5ブランドの価値を合わせると、トップ100ブランドの保有価値総額の25%に相当する額におよび、今日のビジネス環境におけるこれらのブランドの突出性が際立ちます。
強力なブランドは外部情勢の混乱などに関わらず、より優れた株主価値と利益を提供することを改めて示している結果となりました。ランキング上位トップ5のテクノロジー最大手企業がもつブランド力と市場における確固たるポジションは、競合各社にとっては恐るべき存在と言えます。
Amazonはドル換算での企業価値を403億ドル(前年比41%増)伸ばして1,393億ドルという、トップ100ブランド中最大の成長を遂げ、4位につけました。小売最大手の同社はテクノロジーのエコシステム構築を重視し、オンラインショッピングや迅速な配送、エンターテイメントなど消費者の複数のニーズを満たすことに焦点を合わせた取り組みを行い、また食料品の配達やパーソナルアシスタント「Alexa(アレクサ)」など、新たな人口知能サービスを導入しています。
2017年のランキングからは、数々のニーズに対応して複雑さを増す、暮らしを簡略化するエコシステムを開発し、消費者を中心に据えるテクノロジーブランドに勢力がシフトしていることが顕著です。トップ100のブランド価値総額の半分以上は(通信およびオンライン小売業を含む)テクノロジー関連ブランドが占めています。これらのブランドの過去1年間の成長率は16%に達しており、非テクノロジーブランドの4%と比較すると4倍の成長率ということになります。
トップ10中9社はテクノロジー関連ブランドという結果になりましたが、さらに2017年に初めてトップ100にランクインした新参7ブランドもすべてテクノロジー関連です。新参7ブランドとは、Xfinity(エクスフィニティ)、YouTube(ユーチューブ)、Hewlett Packard Enterprise(ヒューレット・パッカード エンタープライズ)、Salesforce(セールスフォース)、Netflix(ネットフリックス)、Snapchat(スナップチャット)、Sprint(スプリント)です。
小売は特に著しい急成長を遂げているカテゴリーで、多くのインターネット企業と同様に、販路に実店舗を追加し続けているAmazonやAlibaba(アリババ)など電子商取引ブランドに牽引されており、この1年でブランド価値を14%も上昇させました。販路をオンラインに限る小売ブランドの価値は2006年以来388%増の成長を遂げる一方、従来の小売ブランドはオンライン販売への対応の遅れを受けて23%減となっています。テクノロジー部門は13%の伸びを示し、今年度第3位の成長(7%増)カテゴリーとなりました。ファーストフードは、主要ブランドによる生鮮食品とバリューメニューの導入や顧客タッチポイントにイノベーションを採用し、ブランド経験を向上させた成果が表れた結果となっています。
BtoB(企業間取引)ブランドのトップ20 について、ブランド価値が11%も増加していることも今年の特徴です。Microsoft は10%増で1,432億ドルと成長1位を堅持し、Shell(シェル)は 23%増で183億ドルを達成、BtoB企業きっての急成長ブランドとなりました。同ランキングはまた、デジタル世界においてビジネスと消費者環境間で重複が生まれるにつれてBtoB とBtoC(企業・消費者間取引)の境界があいまいになり、BtoH(企業と人との取引)ブランドが生み出されることを示唆しています。
今年のトップ100ブランドの保有価値総額は、前年比8%増の3.64兆ドルとなりました。
2016年は前年比3%の上昇でした。トップ100ブランドの価値総額は初年度の2006年から152%増加しており、消費者を中心に据えた莫大なリーチとブランド構築力を誇る革新的なテクノロジーブランドの占める割合が高まっています。2017年の ブランドZのトップ10の企業価値の成長率は、トップ100全体の平均が前述の152%であるのに対して、249%という伸びを達成しています。
2017年度順位 | ブランド | カテゴリー | 2017年ブランド価値 | 増減 | 2016年度 |
1位 | テクノロジー | $245,581M | +7% | →1位 | |
2位 | Apple | テクノロジー | $234,671M | +3% | →2位 |
3位 | Microsoft | テクノロジー | $143,222M | +18% | →3位 |
4位 | Amazon | 小売 | $139,286M | +41% | ↗︎7位 |
5位 | テクノロジー | $129,800M | +27% | →5位 | |
6位 | AT&T | 通信プロバイダー | $115,112M | +7% | ↘︎4位 |
7位 | VISA | 決済 | $110,999M | +10% | ↘︎6位 |
8位 | Tencent | テクノロジー | $108,292M | +27% | ↗︎11位 |
9位 | IBM | テクノロジー | $102,088M | +18% | ↗︎10位 |
10位 | McDdonald’s | ファーストフード | $97,723M | +10% | ↘︎9位 |
2017 ブランドZ™ Top 100 Most Valuable Global Brands ranking and report
出典:カンター・ミルウォード・ブラウン
世界で最も価値のあるブランド・自動車カテゴリーのトップは、Toyota(トヨタ)
日本のブランドでは、自動車カテゴリーの3ブランド(Toyota、Honda、Nissan)と通信プロバイダーカテゴリーの2ブランド(NTT、Softbank)が、100位以内に入りました。
ブランド | カテゴリー | 2016年順位 | 2017年順位 |
Toyota | 自動車 | 28位 | 30位↘︎ |
Honda | 自動車 | 74位 | 91位↘︎ |
Nissan | 自動車 | 92位 | 100位↘︎ |
NTT | 通信プロバイダー | 47位 | 50位↘︎ |
Softbank | 通信プロバイダー | 94位 | 95位↘︎ |
2017 ブランドZ™ Top 100 Most Valuable Global Brands ranking and report
出典:カンター・ミルウォード・ブラウン
今年を含め過去11年において、常に100位以内にランクインしているのは、日本の自動車カテゴリーの3ブランドです。自動車分野では、前年に引き続き、日本ブランドのトヨタが世界のトップブランドです。
2017年順位 | ブランド | ブランド価値 | 増減 | 前年度 | Global Top 100 |
1位 | Toyota | $28,660M | -3% | 1位 | 30位 |
2位 | BMW | $24,559M | -8% | 2位 | 35位 |
3位 | Mercedes-Benz | $23,513M | +4% | 3位 | 40位 |
4位 | Ford | $13,065M | 0% | 5位 | 83 |
5位 | Honda | $12,163M | -8% | 4位 | 91位 |
6位 | Nissan | $11,341M | -1% | 6位 | 100位 |
7位 | Audi | $9,393M | -1% | 7位 | – |
8位 | Tesla | $5,876M | +32% | 10位 | – |
9位 | Land Rover | $5,534M | +17% | 8位 | – |
10位 | Porsche | $5,141M | +16% | 9位 | – |
2017 ブランドZ™ Top 100 Most Valuable Global Brands ranking and report
出典:カンター・ミルウォード・ブラウン
まとめ
消費者向けテクノロジーのエコシステムがブランド力を強化。
消費者はオンラインショッピングからテレビ視聴まで、ひとつのブランドのもと複数のデバイスを用いて様々なつながりを持つようになっています。ブランドが消費者に提供できる利便性は、他ブランドへの乗り換えリスクを最小限に押さえることにつながっています。
グローバルな環境で急成長する新ブランドが増加。
テクノロジーによって、企業はブランド創出時期から、製品やサービスを世界規模で提供することができます。これにより、従来成長の速度や規模拡大を制限してきたといえる、地理的境界やセクターの垣根が取り払われ、新たなタイプの起業家が現れます。
非テクノロジーブランドでも、テクノロジーによるイノベーションで消費者への訴求力をさらに高めている。
例えば、急成長を遂げたAdidasではフットウェアの生産に3次元印刷を導入しています。また、ファーストフードブランドのDomino’s Pizza(ドミノピザ)では顧客に注文のリアルタイム追跡を提供し、消費者の心を捉えています。
ブランドZトップ100にランキングされる企業は、若い企業が増えている。
ブランドの平均事業歴は、2006年調査当初は84年でしたが、現在は67年で、より新しいテクノロジーブランドの参入と中国ブランドの登場を反映した結果となりました。
カンター・ミルウォード・ブラウンの ブランドZグローバルヘッドであるドリーン・ワンは次のように語っています。
「今は、暮らしをより簡単にシンプルに、より良いものにするという全体的な目標のもと、消費者の共感を得ることによってつながりを持続できるようなエコシステムを開発した、インターネット大手企業の時代です。消費者中心のテクノロジーは、私たちの生活がもっと便利になることを再定義し、今ではそうした製品やサービスを即座に使えることが当たり前だと思っています。こうした製品やサービスを提供できるブランドはまた、非常に優れた融通性を発揮しており、一つの分野にとどまらず、新たなカテゴリーで無理をすることなく事業拡大しており、顧客基盤も拡大しています。」
『ブランドZ™ Top100 Ranking(ブランドZ・トップ100ランキング)』について
ブランドZは世界最大のブランド資産データベースです。 世界中で、毎年300万人以上の消費者アンケート結果から集められるブランドに関するデータと、各企業の財務実績、業績の分析を組み合わせた唯一のブランド評価調査で、1998年につくられて以来、毎年更新されています。
直接消費者に対して行うアンケートでは、彼らが実際に買い物をしているカテゴリーについて評価をしてもらうことで、ユーザーの実体験に則した評価がデータに反映されています。データベースには、消費財(FMCG)、耐久消費財、サービス、店舗、企業ブランドなど、200以上の多岐にわたるカテゴリーにおいて、約60,000以上のブランドの結果が含まれています。
※ブランドZは、カンター・ミルウォード·ブラウンのブランドエクイティ評価モデルであるBrandDynamics(ブランドダイナミクス)アプローチに基づいており、セールスとの実証実験を繰り返すことで定期的に開発・改善が行われています。
【参照】
「ブランドZ Top 100 Most Valuable Global Brands」の報告書およびランキング、世界主要地域および14市場セクターに関するブランドインサイトの詳細はこちらから
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