iOS新機種iPhone7/7 Plus発売後、
2016年7-9月 世界のスマートフォン利用動向

2016.11.29 広報室_管理者

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iOS販売シェア、米国は早くもプラスの影響あり国内は、契約キャリアや利用ブランドの流動化が高まる兆し

市場調査会社の株式会社カンター・ジャパン(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:大竹秀彦)は、世界の携帯電話・スマートフォンおよびタブレット機器の購買・使用動向調査(名称:「カンター・ワールドパネル・コムテック(略:コムテック調査)」)を毎月実施しており、そのデータやレポートを販売しています。

2016年7月から9月にかけて3か月間の同調査の最新スマートフォン販売データを見ると、9月のiOS(アイオーエス)新機種iPhone7、iPhone7 Plusの発売後、米国のiOS(アイオーエス)販売シェアには早くも影響があり、前年同期比5.2%増となりましたが、日本を含め、その他の国のiOS(アイオーエス)販売シェアについては大幅な増加とはなりませんでした。

国内の変化としては、MVNO(仮想通信事業者)の増加とSIMフリースマホの認知により、スマートフォン利用者の流動が高まっていることが挙げられます。ここでは、キャリア別、ブランド別の販売シェアの変化に着目し、まだわずかながらも増加傾向にある新規勢力の成長をデータとともにご紹介します。

日本の7-9月のiPhone販売シェアは37.4%、Androidは61.7%

国内でも9月16日にiOS(アイオーエス)新機種iPhone7、iPhone7 Plusが発売されましたが、前述の米国のような影響はなく、昨年と同様全体の4割弱にとどまりました。但し、Appleは、日本でもサービスを開始した「Apple Pay」での取引が急成長していると言われています。非接触決済(いわゆるおサイフケータイ)が広く浸透している日本では、ハードウェアよりもサービスの面で、Appleのさらなる成長はあるのかもしれません。

過去1ヵ月の間にスマートフォンを新規契約、又は機種変更した人にその機種を回答してもらい、オペレーティングシステム(OS)別の割合を算出しています。
※対象者が実際にスマートフォンを購入した時期は、ほぼ調査時期と同じです。

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MVNO(仮想通信事業者)の増加とSIMフリースマホの認知:国内状況

国内では、通信事業者間での競争がハードになる一方、固定キャリアが強く、NTT、KDDI、Softbankの大手3社グループに集約されていました。近年、新たな動きとして、MVNO(仮想通信事業者)の増加、SIMフリースマホの認知、浸透が進み、今回の調査データにも消費者が利用するキャリアや端末ブランドの流動性の高まりが顕著に表れています。2015年5月から始まったSIMロックの解除義務化により、端末を契約事業者の回線でしか使えないようにするSIMロックが解除され、消費者はお気に入りの端末モデルの契約先を各キャリアのサービスメニューによって選択することができるようになり(端末によっては、キャリアが固定されている場合もあり)、この1年で「その他」のキャリアのシェアは前年期比+7.7%と大きく増加しているのです。

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下のグラフを見ると、調査時期2016年7-9月のMVNO契約者のうち45%もの契約者が、前年は大手3社キャリア(NTT Docomo, au, Softbank) の利用者から流れてきていることが分かります。

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MVNO(仮想通信事業者)のキャリアに乗り換える人の選択理由を見てみると、「より安い通話料金/SMS」であることが明らかです。 一方、各大手キャリアの選択理由を見ると、ネットワークとの併用割引(インターネット割引)や、家族間通話無料やかけ放題プランなど、MVNOのキャリアにはできない各社それぞれのサービスを提供し、これまでの顧客をつなぎとめている状況です。

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また、大手キャリア(NTT Docomo, au, Softbank)の高止まりした携帯料金を引き下げるための国の政策の後押しもあったことから、国内のSIMフリースマホの認知度は一気に高まりました。今や家電量販店の店頭などでも手軽に購入できるようになったSIMフリースマホは日本固有のキャリアによってSIMロックされた端末と違い、格安SIMや海外キャリアのSIMなどが利用できるため、世界で販売されている個性的かつ、コストパフォーマンスに優れた端末の中から自分に合うモデルを選択することができるのです。そこで、国内スマートフォン販売シェアを各端末ブランド別に前年と比較してみました。下図のブランドシェアからは、Android搭載の各ブランドの増減が見られますが、それよりも特徴的なのは、「その他」のブランドが販売数を6.5%も上げていることで、その内訳上位は、SIMフリースマホ市場を牽引するHuawei(ファーウェイ) 4.1%、次に Freetel(フリーテル)2.6%が続いています。

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世界のスマートフォンOS別販売シェア 海外状況

2016年第3四半期も、Androidと iOSは、世界各国で販売シェアの接戦を繰り広げています。中国都市部では、今期、Androidが85.3%という、同市場歴代2位という高いシェアを占めています。ただ、この数字はiOS新機種iPhone7、iPhone7 Plusの供給が制約されている背景を考慮すると、供給が需要に追い付くようになれば形勢転換につながるかもしれません。

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2016年第3四半期の米国市場シェアは、iOSが5.2ポイント上昇し、34.2%となりました。この上昇について、カンター・ワールドパネルのコンシューマー・インサイト・ディレクター Lauren Guenveurは一時のものであると語っています。

「米国のiOSシェアの増加においては、iPhone新機種の好調な売れ行きと、9月の米国販売実績で2位となった価格落ちのiPhone6のおかげと言えるが、爆発事故で窮地に立たされたSamsung Galaxy Note7の大規模なリコールの余波も否めない。ただし、この余波も、米国人のスマートフォン選択要因が今なお『お買い得感』であることを踏まえると、これからやってくるクリスマス・ホリデーシーズンの大幅な割引によって、予想されているような悪影響は緩和されるだろう」。

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参照:Kantar World Panel Website

http://www.kantarworldpanel.com/global/News/-iPhone-7-and-7-Plus-Boost-iOS-Share-in-US

調査概要

カンターは、19 ヵ国の携帯電話・スマートフォンおよびタブレット機器の購買・使用動向を把握し、その情報・分析レポートを企業に提供しています。調査を実施しているのは、カンター・ワールドパネル社です。

  • 調査名称: 「カンター・ワールドパネル・コムテック調査」
  • 調査時期:2016 年7 月から9 月
  • 調査方法:主にインターネット調査(日本を含む)
  • 調査対象:16 歳以上の男女( イギリスは13 歳以上)
  • 対象者数:10,000 人/月(日本)
  • 調査国:日本、アメリカ、中国(都市部) 、EU5( イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン)、オランダ、ポーランド、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、オーストラリア、メキシコ、アルゼンチン、ブラジル、インド
    ※世界各国のOS販売シェアのデータはこちらでも閲覧できます。
    http://www.kantarworldpanel.com/global/smartphone-os-market-share/
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