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新たな実証結果:いかに広告の品質が利益を生むか?

2023年2月17日 web管理者

KANTARとWARCは、クリエイティブで効果的な広告が4倍以上の利益を生むことを新たに証明しました。



マーケティング予算がますます逼迫する中、貴重な投資を確実に利益に結びつけることが、これまで以上に重要になっています。KantarとWARCは、ROIを高めるためにクリエイティブの品質が重要な役割を果たすことを示す新しい証拠を示しています。


ブランドは、短期間であれば大きなダメージを受けることなく広告を止めることができますが、長期間にわたって停止するとダメージを受ける可能性があることが分かっています。そして、一度ブランドの存在感を落としてしまうと、元に戻すのは難しくなります。広告によるサポートがないブランドは脆弱となり、広告の効果を信じて「思い切った決断」で投資することがかつてなく必要となっています。そのため、お金の無駄遣いが最も好ましくない時期である今、広告の企画段階からメディアで投下するまで、マーケティング担当者はクリエイティブを慎重に評価し、「コストのかかる失敗」を避ける必要があるのです。


早い段階で広告テストを通じて改善させることが、より創造的で効果的な広告オンエアにつながることは既知の話ですが、今回、実績データに基づいて実証されたこととして、KANTARの広告事前調査Linkが、より高い利益、つまり、マーケティング投資収益率(ROMI)をもたらすということです。Linkは30年以上にわたって検証され続けてきており、マーケティング・アカウンタビリティ基準委員会MASBの厳格な評価に基づいて認定された唯一の広告テスト調査ソリューションです。Linkによるクリエイティブの品質測定は、売上高や長期的なブランドエクイティの成果に対して長年にわたり検証されており、最先端の広告テストツールであり続けています。そして今回、この2つの指標の組み合わせ、つまり、短期売上増加確度と長期ブランド貢献度によって、キャンペーンの収益性を予測できるという新たなエビデンスを得ました。

新しいエビデンス

WARCの協力のもと、WARCのROIデータベースとカンターのLink広告事前テストのデータベースをマッチングさせました。WARCのデータベースには、世界中の1,100を超える賞のエントリー作品と受賞者が含まれています。これらのエントリーは、グローバルなケーススタディや地域の戦略コンペティションから得られたものです。カンターのLinkデータベースは、あらゆるメディアチャネルにおける25万件以上のグローバル広告を収録しており、広告が短期的な売上を促進する能力と、将来のブランド需要を構築する能力を測定する検証された指標を含んでいます。クリエイティブの品質が主要なブランド指標に与える影響を調べるため、Kantar Link Databaseの約450の広告とWARCのデータベースのROMI利益数値をマッチングさせました。

創造的で効果的な広告が利益を生む

クリエイティブの質を評価する指標として、Linkの短期尺度と長期尺度を組み合わせて見ると、創造的で効果的な広告はそうではない広告の4倍以上の利益を生み出すことが証明されました。

創造的で効果的な広告は、4倍以上の利益を生む

Source: Kantar Link database and WARC ROI database



短期的な売上促進という点では、Linkのブランド伝達効率と説得力の指標でより良いパフォーマンスを示した広告が、ROMI 利益を増加させる可能性が依然として高いことが分かりました。しかし、広告がブランドの意義性、差別性、想起性を高められるかに基づいて計算される長期的な欲求形成力(Demand Power)による貢献は、ROMI利益とのさらに強い関係性を示しました。短期的な売上増加を予測するブランド伝達効率と説得力が利益を促すというのは、ロジカルに考えれば当たり前のことです。しかし、それだけが事実ではなく、すべての広告に長期的なブランド構築の要素を含めることは、これまで考えられていた以上に重要であるという事実を浮き彫りにしています。

短期売上増加確度と長期的なブランド貢献はROMI利益と相関する

Source: Kantar Link database and WARC ROI database


長期的な視野で考える

つまり、マーケティング投資収益率の上昇をより強く説明するのは長期的なブランドエクイティであり、目的に関係なく、すべての広告にブランド構築の要素を含めることは理にかなっているのです。


真の勝者は、その両方が可能な広告であり、Kantar Creative Effectiveness Awardの受賞作には、そのような事例が多く見られます。ハイネケンの受賞キャンペーン「Cheers to all in 2021」は、その好例と言えるでしょう。性別による飲み物の固定概念を、説教臭さや独善的にならずに、軽妙な方法で取り上げ、それゆえに視聴者に愛されたのです。ハイネケンはこのような広告のスタイルを進化させ、今日の問題を認識し対処するブランドとして、未来に向けて構築し続けているのです。

ハイネケン、Cheers to all


このような広告の成功例には、将来の需要を喚起しつつ、販売を促進するような広告のいくつかの要素が共通して見られます。これらの強力な広告は、終始一貫して商品を表示し、統合された形で商品デモを利用し、広告の早い段階でブランドを確実に表示する傾向があります。


高い欲求形成力(Demand Power Contributions-長期的なブランド構築への貢献度)を持つ広告は、確立された既存のブランドから発信される傾向がありますが、広告にブランディングの仕掛け(意図した連想を作り出すブランドキュー)を組み込むことは、あらゆるブランドの構築を開始するための強力な方法です。ブランディングの仕掛けは、例えば、スローガンをハッシュタグとして用いたり、さらに言えば、新しいプラットフォーマー上でのハッシュタグチャレンジを取り入れてみたりすること等で発展させることができます。スローガンやハッシュタグは、マルチチャネルの世界で簡単に使いまわすことができ、同時に、短いシンプルな言葉であなたのブランドが何であるかをはっきりと示すのに役立ちます。また、セレブリティも強力なブランディング装置となり、ブランド・アンバサダーとなって、あなたのブランドを思い起こさせることができます。また、音楽と音響によるブランディング(最近ではSonic Brandingと言われている)は、一貫して感覚を刺激して、瞬時にブランドの連想と記憶を呼び覚ますことができます。


広告が将来の需要を喚起し、長期的なブランド構築に貢献するためには、様々な方法があります。この新しい検証から得られた証拠は、短期的にも長期的にもクリエイティブ品質の重要性を示しており、広告クリエイティブの品質への投資がこれまで以上に必要とされている今、その防衛に役立つはずです。「コストのかかる失敗」はもはや迅速で費用対効果の高い広告事前テストによって回避することができます。広告が利益に直結することを証明する証拠を手に入れた今、広告投資をもはや「思い切った決断」のように感じる必要はないのです。


Link事前広告調査の詳細については、Kantar Marketplaceをご覧ください。


原文:https://www.kantar.com/inspiration/advertising-media/the-art-of-proof-how-creative-quality-drives-profit

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