Thought Leadership

グローバル・ビジネスリーダー調査:消費者理解をビジネスの中心に

2021年2月19日 広報室_管理者

COVID-19の影響で企業やブランドが苦境に立たされている中、世界のビジネスリーダーたちの84%が組織構造の変革が必要だと考えています。では、どのようにアプローチすべきなのでしょうか?

※本記事は、2020年12月のカンターグローバルの記事の翻訳です。


約4,500人近くの世界のビジネスリーダーを対象にした当社の調査「Global Business Compass」によると、3分の2以上(69%)の企業が2020年の下半期の業績は衰退に終わると予想しました。そして、27%がCOVID-19の影響から回復するには少なくとも2年かかると予想しています。また、約7割のリーダーが自社のビジネスモデルは「競争力を維持するために適切ではない」と答えています。

前記事では、マーケターがビジネスの回復とその回復をサポートするために必要な3つの課題について明らかにしました。1つ目は目的を持った戦略の採用、2つ目はデジタルトランスフォーメーションに焦点を当てること、3つ目は組織のパフォーマンスについてです。企業のビジネスの回復のためには、従来の働き方を抜本的に変え、組織のパフォーマンスを大幅に見直し、それに投資することが必要です。

COVID-19がもたらしたビジネス転換

2020年のパンデミックの中、成長を遂げた企業はわずか20%に過ぎませんでした。成長した、あるいは損失を被らなかった企業の大多数(59%)は、ビジネスモデルの転換を行っており、その4分の1以上の企業がイノベーションへの投資を増やしていました。

パンデミックによる消費者行動の変化の結果、ビジネスリーダーの64%が、長期ビジネス戦略の優先事項を根本的に見直す必要があると予想しており、84%が組織構造の変更、72%が働き方の見直しを考えています。

企業がどのようにビジネスを運営するかは、業績だけでなく、顧客体験やロイヤリティに重要な要因です。  弊社の「Global Business Compass」調査では、60%の企業が従業員にメンタルヘルスのサポートを提供し、在宅勤務を促進するための対策を講じていることがわかりました(89%)。従業員をサポートし、育成することは業績回復への一歩となるでしょう。最高の人材を積極的に採用することも成長の鍵となります。

組織の能力は、いざという時に顧客や従業員が喜ぶ体験を創造するための基盤となります。

組織を考えるにあたり、体験(エクスペリエンス)をデザインすることは何よりも肝心だと私たちは考えています。

顧客体験はどうあるべきか、そしてそれを実現するためにどのような体制を整えるのか。満たされていない課題を埋めるだけではなく、理想のビジョンを作り、共有し、それに向かって努力しましょう。もちろん、最適な顧客体験を創造するために、すべてのチャネルをリンクさせ体系づけることは、組織にとって大変なことです。

最近のビジネスに人気のある進言(マントラ)の一つに「もっと人間らしく」というものがありますが、弊社の「COVID-19 Barometer」調査においても、誰もが人間的な交流を切望していることが分かっています。ビジネスが従来のサイロ化した仕事の性質から脱却し、可能な限り最高のオムニチャネルで生活者中心の体験を創造することに焦点を合わせることが非常に重要なのです。カスタマージャーニー全体で、より消費者中心の体験を提供するためには、製品、価格設定、購買、コミュニケーション、メディア戦略を総合的に考える必要があります。このための適切なコンテンツ作成は、様々なタッチポイントや「モーメント」を横断することを意味します。

このアプローチには、明確なビジョンを描くリーダーシップだけでなく、顧客や従業員についての深いインサイトも必要です。

イノベーションに導くインサイト

私たちが直面している不確実な世界では、企業やブランドの成長への道筋として、イノベーション(製品、サービス、市場へのルート、コミュニケーション)の重要性がますます高まっていることを意味します。俊敏性が高いスタートアップ企業から学べることはたくさんありますが、大企業は俊敏性(アジリティ)と安定性のバランスをとることができます。

新興企業は製品を素早く出すことには長けているかもしれませんが、成功の可能性を高める有益なインサイトを見逃してしまう可能性があります。スピード感を持って動くことは素晴らしいことですが、消費者のインサイトを適切に取り入れることも重要なのです。必ず顧客中心を貫くこと、つまり顧客のニーズを中心にイノベーションを起こすことは、次の大きなディスラプションから企業を守るのにも役立つでしょう。

消費者を深く理解することがカギとなります。これは、人びとが一日、一週間、ライフステージを通して何を考え、何を感じ、何をしているのかを知ることから始める必要があります。消費者はブランドとどのようなつながりを持っているのでしょうか。このモーメントの理解によって初めて、現実と理想のビジョンとのギャップを見極め、何か対策を講じることができるのです。

また、インサイトはすでに行っていることを検証するためだけのものではないことを覚えておいてください。データを使ってパターンを見つけ、勇気を持って創造力を発揮し、そこからの学びを活用してみてください。

最後に、企業のストーリーと長期的戦略の優先事項をしっかりと紐づけるために、従業員や消費者とのフィードバックループを作り、インサイトを提供するアジャイルな組織を作ることをお勧めします。世界が変わればビジネスも変わる必要があります。消費者理解をビジネスの中心に据えること、始めるには今が絶好の時期ではないでしょうか。

このイノベーションに関する詳細情報やコンセプト調査のご相談は、カンター・ジャパンまで。
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