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広告に90歳の女性が採用される時代になった。

2013年7月1日 広報室

高齢化社会においては、高齢者向けの商品・サービスを開発するだけでなく、ブランドの広告塔に年齢の高い俳優などを採用し、高齢者を惹きつけようとする例が見られます。化粧品のMACは、90歳にもなるセレブを広告塔に起用しています。以下では、高齢化社会に着目したブランド戦略のあり方に関するアディド・バリュー社のブログ記事を紹介します。

Lee Manning-Craik, アディド・バリュー社
「ベビーブーマー」、「高齢者」、「シルバーサーファー(インターネット利用頻度の高い高齢者)」・・・呼び名は何であれ、50歳を超える人々がまもなく世界中で20億人にもなります。それは、最も早く成長する属性であり、無視できません。

1946年から1964年に生まれた大人たちがアメリカの人口の半分を占めるようになり、その数は18歳から49歳までの人口の約3倍の割合にまで伸びています。したがって、消費力のある彼らがアメリカで『最も価値ある世代(most valuable generation)』(昨年発表されたニールセンのレポートでの呼び方)と呼ばれるのも驚くことではありません。

この現象はどこでも同じです。イギリスでは、その世代は人口の35%を占め、どの世代よりも高い可処分所得を持っています。そして、EU27ヵ国では、この年代の人々が、1985年から2010年にかけて多く見られるようになりました。

彼らはとても魅力的な層です。実際にMAC(マック。化粧品のブランド)、Jimmy Choo(ジミー・チュウ。シューズとバッグのブランド)、Lanvin(ランバン。服飾のブランド)、Celine and Delvaux(セール・デルボー。バッグのブランド)は、最近のキャンペーンで50歳を超えているモデルを起用しました。映画の世界でも、その世代に焦点を当てた映画を発表しています。そして、バンクオブアメリカ、メリルリンチ、ファイザー、ジョンソンアンドジョンソン、エイゴン(保険)のような会社が、the Global Coalition on Agingという組織に協賛し、この世代を理解しようとしています。

しかし、50歳を超えた人々のことを深掘りしてみると、この人口の層は同質ではないということが明らかになっています。彼らは、違ったニーズ、モチベーション、そして願いを持つ多様な人々であり、それらが彼らとブランドをどう結び付けるかを決めます。

ただ、一貫しているのは、ほとんどの人が自分の実際の年齢を感じていないということです。多くの人々が、家族や社会的な義務から解放され、新しい趣味や興味に使う経済的自由を得たのは初めてのことです。Playtex(プレイテックス。下着のブランド)は、「この年齢を感じさせない世代でいることがなんて素晴らしく、明るく、スタイリッシュで、自信に満ち溢れたことなのか」が伝わるようなキャンペーンを展開しました。

「年を取っている」という観念は、かつてよりも大分遅くなりました。約20年前は、典型的な退職者の年齢は50歳で、それを超えると「年を取っている」とみなされました。ブラジルのような国ではまだこのような考え方が通用しますが、他の国では50歳になっても現役で働くというように変わっています。重要なことは、こういう人々が、精神的に活気にあふれていて、社会とも結びつきが深いままでいることです。

イギリスの日曜大工の会社B&Qは、ここ数年この世代に狙いを定め、うまく成功しています。人々が引退した後日曜大工を行う可能性が爆発的に増えることに早々に気づくと、B&Qは、革新的な関連製品を開発し、彼らと同世代の人々を採用して、日曜大工の経験に乏しい同世代の顧客にアドバイスできるようにしました。

しかし、引退後の自由時間は増えますが、ストレスがなくなるわけではありません。移動手段が代わり、医学的な支援が減るなど、伝統的な支援のネットワークから離れてしまいます。加えて、量的緩和政策が、彼らの可処分所得に影響を与えつつありますし、高齢の親たちが子どもに負担をかけまいとするにつれて、不安な時間が増えることになります。

ある心理学の研究によると、高齢の消費者は、彼らのニーズを満たすブランドにはお金を払うし、ロイヤリティが高く、口コミで広めてくれるそうです。一旦この信頼関係が作られれば、それは崩れにくく、時間がたつほど深まります。

高齢化した世代と強い関係を築くことはチャンスに繋がります。この世代の微妙な機微を理解し、彼らの価値観や信念を反映することによって、機能的・感情的ニーズを満たすことができるブランドは、大きく成長できる可能性があるでしょう。

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