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ターゲティング精度は20% – 80%!?ネットワーク広告やDSPの実態

2015年7月27日 広報室

10年ほど前に遡るとオンライン広告で広いリーチを取ろうとするとすれば、大手のポータルサイト一択のメディア環境であった。ところがその後、アドサーバーの登場で、複数のサイトを横断して広告を配信するネットワーク広告が現れ、さらにネットワーク広告のネットワーク化が進み、今では大手ポータルサイトに並ぶ広いリーチを持つネットワーク広告やDSPが登場している。ネットワーク広告はさまざまなサイトを横断して広告を配信できるため、各ページの枠をカテゴリ分類することでカテゴリターゲティングという手法を作り出した。さらに、カテゴリと結びつくクッキーを継続的にトラッキングし、各メディアが保有する会員情報などと連携させることによって、「枠」を超えて、「人」をプロファイルし、ターゲティングできる広告へと進化を続けている。

広いリーチでありながら、ターゲティングが可能ということは、特定のターゲット層に効率的にリーチし、ブランド訴求を行うという用途が見えてくる。特に若者のテレビ離れが進む日本において、TVではリーチしづらい層への投下を補完する役割としてDSPやネットワーク広告が活用される機会が増えてきている。このようなオフラインメディアと連動した大きなキャンペーンでは、キャンペーン全体のコミュニケーションターゲットとして、性・年齢といった従来の属性情報がターゲットを定義する条件として使用されることが多い。例えば、20代の男性をターゲットにしたキャンペーンを打つ場合、テレビは20代男性が多く見るスポットを選定することはできるが、その際にターゲットではない層へのリーチがどうしても発生してしまう。

一方、オンライン広告は一般的に表示回数あたりの課金となるため、ターゲットである20代の男性に広告を届けるためのコストだけを負担すれば良いという点で、効率的である。また、広い性・年齢をカバーするキャンペーンであっても、性・年代によってコミュニケーション内容を変えることで、より自分事として受け止められるキャンペーンを作り出すことができるだろう。

では、このネットワーク広告やDSPのターゲティング精度というのは、どれくらいのものなのだろうか。

ターゲティング精度のばらつき

KantarJapanが提供するAdIndexDashはこのようなネットワーク広告やDSPをはじめとするディスプレイ広告のブランド効果測定をリアルタイムに行うためのソリューションであるが、ユニークな点として実際に広告が掲載されるサイト上で、広告を表示するためにターゲティングされた人に対してアンケートを聴取することができることが挙げられる。つまり、調査用会員を集めて構築されるオンラインリサーチパネルとは異なり、調査用会員の枠を超えてより広い層にアンケートを届け、ブランド効果を測定することが可能である。

加えてこのソリューションでは、ブランドリフトだけではなく、ターゲティングされた人のプロファイルを聴取することでターゲティングの精度も同時に検証することもできるようになっている。

以下のチャートは女性のある年代層をターゲットにしたブランディングキャンペーンにおいて、複数のDSPやネットワーク広告ベンダーを活用して実施した際の結果である。P~Uは各ベンダー×ターゲティングを表している。女性の自然な構成比は50%なので、いずれのベンダーもターゲティングした層での女性含有率が50%以上であるという点ではターゲティングに成功しているが、女性の含有率は60%~90%とベンダーやターゲティング手法によってばらつきがある。

では、さらに女性の中でも、ターゲットとなっている特定の年齢層に絞るとどうなるだろうか。この層の日本人口での構成比は10~15%の間なので、含有率が20%以上という点ではいずれのターゲティングも成功している。しかし、各含有率は20%~80%とベンダーやターゲティング手法によって大きなばらつきが生まれていることが分かる。

なぜターゲティング精度にばらつきが生まれるのか

このターゲティング精度のばらつきを生む原因を理解するためには、DSPやネットワーク広告でどのように性・年齢の判別が行われて配信されているかを理解する必要がある。

実は多くのDSPやネットワーク広告は、性・年齢情報を持つ一部のオーディエンスを元にクッキーで追跡したサイト利用傾向の類似性で、性・年齢情報を持たないより広いオーディエンスの性・年齢を推定している。そのため、性・年齢を指定してターゲティングしたとしても、その性・年齢は推定のものであり、配信結果のレポートに示される性・年齢も同じく推定された性・年齢を使用して報告される。そのため、真のターゲティング精度をマーケターが目にする機会はなかなか無い。

では、ベンダーによって差が生まれるのはなぜなのだろうか。以下は、その要因と考えられるものを具体的に挙げてみたものである。

オーディエンスデータの量と質

ベンダーが所有する実際の性年齢情報を持つオーディエンスデータの規模が大きければ、推定が必要となる層は少なくなると共に、推定の元となるサンプルが大きければ、統計的にも推定の精度が高まる。また、より広く、深いサイト行動データを用いた方が、サイト利用傾向の特徴は分類されやすくなるため、各ベンダーがどのくらいの広さと深さでオーディエンスデータを収集できているかというのも推定精度では重要になってくる。

推定アルゴリズムの質

サイト利用傾向から、性・年齢を推定するアルゴリズムとして、どのような統計モデルを使用しているかはベンダーによって異なる。したがって、このアルゴリズムの質がターゲティング精度にも影響を与える。ベンダーによっては、同じ層のターゲティングであってもアルゴリズムをカスタマイズすることができるところもある。

掲載面のカバレッジ

DSPやネットワーク広告を通じて掲載できる実際の枠が、特定の性別や年齢に偏ったものであると、これもターゲティングの精度を下げる要因となる。極端な仮定として、90%の男性に当たる掲載面を持っているベンダーで、80%のターゲティング精度のアルゴリズムを用いて女性にターゲティングを行ったとする。その際、10%の女性側に対して80%の精度でターゲティングすると、全体で8%の女性に広告が当たる計算になるが、これは同時に90%の男性から80%の精度で男性を除外することにもなるので、ターゲティングで除外できない20%(全体では18%の男性)は女性として判定されてしまうことになるのである。

その結果、以下の表のように女性と推定される人をターゲティングしたとしても、実際には男性:女性=18%:8%=69%:31%と、ターゲティングした女性よりも男性により多くリーチする結果になってしまう。逆に男性をターゲットとする時には、このような掲載面の特長を活用するというのも手であろう。その場合、まずはターゲティングをかけずにブロード配信で各ベンダーの掲載面の特長を検証しておくと良い。

また、上記の条件をすべて満たしたとしても、共有パソコンの存在が、ターゲティング精度の課題となる。これはパソコンをベースとするDSPやネットワーク広告全般に言えることなのでばらつきの主因とはならないが、一般的にDSPやネットワーク広告はブラウザ単位でクッキーを判別しているため、1台のパソコンを家族で共有している家庭の場合、確実にターゲットに広告を届けることが難しくなる。

オーディエンス計測の重要性

もしも、あなたがコミュニケーションターゲットにリーチできない媒体費は無駄だと考えるのであれば、まずはベンダーによる違いを検証してみることから始めてみると良いだろう。また、ベンダーによってはターゲティングのアルゴリズムを調整できるところもあるため、その場合は複数のアルゴリズムを検証にかけてみるというのもよいだろう。

KantarJapanのAdIndexDashは、ブランドリフトを計測しつつ、簡易的にターゲティングの精度をはかることを可能にするが、より精緻にオーディエンスインサイトを得る方法として、以下の2つのソリューションをご紹介したい。

ComScore

comScoreの広告効果測定サービス『AdEffxvCE(アドエフェックスブイシーイー)』では、ターゲティング精度に加えターゲットへのリーチやフリクエンシーを計測できる他、広告が実際に閲覧可能な範囲に表示されたかどうか(Viewability)を知ることができる。KantarとcomScoreは世界的な業務提携を発表しており、精度の高いオーディエンス計測とブランドリフトインサイトを両社で協力して提供できる

また、上記の条件をすべて満たしたとしても、共有パソコンの存在が、ターゲティング精度の課題となる。これはパソコンをベースとするDSPやネットワーク広告全般に言えることなのでばらつきの主因とはならないが、一般的にDSPやネットワーク広告はブラウザ単位でクッキーを判別しているため、1台のパソコンを家族で共有している家庭の場合、確実にターゲットに広告を届けることが難しくなる。
体制を整えている。

Miaozhen

Miaozhenは、パソコンとモバイルを横断してターゲティング精度や、リーチとフリクエンシーの計測をリアルタイムに行う『AdMonitor(アドモニター)』を提供している。モバイルは若年層へのリーチをより得意としているため、TVを補完する打ち手として活用が期待されているが、実際にどのくらいの精度があるのかを明らかにし、キャンペーンの進行に合わせて配信調整をしていく時にこのソリューションが役立つだろう。


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